日常生活用具給付制度について
日常生活用具給付制度とは、障がい者が日常生活を自立した状態で円滑に過ごすために必要な機器の購入を公費で助成する制度です。
障がい者が利用する各種の用具や機器は、価格が高額なものが多く購入を躊躇ってしまう方が多いです。
しかし、障がい者がそれらの用具や機器を使えれば、日常生活の質を大きく向上させることができます。
障がい者が機器や用具を購入する際に、各市区町村へ申請し、審査し、助成を決定します。
移乗用リフトを入れたいけどレンタルできない
僕が訪問リハビリに行っている中学生の男の子A君は難病の為、足の筋力が落ちてしまい立つことが出来ません。
歩くこともできないので移動は電動車いすを使っています。
その電動車いすへ移乗が大変で、A君は体重もかなり重いので毎朝中学校に行く時は二人がかりで車椅子に移乗しています。
そこで移乗用の介護リフトを入れたいと考えました。
介護リフトは介護保険のレンタル適応になっているので介護保険の認定を受けた高齢者なら1割負担の場合は月額1,900円でレンタルができます。
介護保険の場合は原則65歳以上にならないと使えないのでA君の場合は全額自己負担となる為1か月で1万9000円かかってしまいます。
年間で22万8000円、10年使うと220万円以上かかります。
それだけかかるなら購入した方が安いと思い値段を調べると・・・
50万500円でした。全額自費のレンタルと比較すると2年2カ月以上使うと購入した方が安くなります。
ただ、それでも50万円もするものを購入するには家庭への経済的な負担も大きいです。
介護リフトのメーカーへ問い合わせしてみた
少しでも経済的な負担を減らせないかと市町村によっては何か助成制度があるかもしれないと思ったので一番詳しいであろうメーカーに直接電話してみました。
話しを聞くと、市町村によって助成制度の金額は違うということでその地域担当の営業さんい繋いでもらい教えってもらった制度が日常生活用具給付制度でした。
詳しい内容は市のホームページに載っていました。
給付の対象や日常生活用具
対象者 | 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方、又は難病患者等(品目によって等級の制限があります。) |
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必要なもの | 身体障害者手帳又は療育手帳、又は精神障害者保健福祉手帳、特定医療費(指定難病)受給者証又は診断書、見積書、パンフレット |
自己負担 | 原則1割負担(但し、利用者が18歳以上の場合は利用者本人と配偶者の収入、利用者が18歳未満の場合は利用者の保護者の属する世帯の収入に応じて利用者負担上限額が設定されます。) |
用具の種類 | 支給対象品目 |
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介護・訓練支援用具 | 特殊寝台、特殊マット、特殊尿器、入浴担架、体位変換器、移動用リフト、訓練椅子 |
自立生活支援用具 | 入浴補助用具、便器、つえ、移動・移乗支援用具(歩行支援用具)、頭部保護帽、特殊便器、火災警報器、自動消火器、電磁調理器、歩行時間延長信号機用小型送信機、聴覚障がい者用屋内信号装置、車椅子用レインコート |
在宅療養等支援用具 | ネブライザー(吸入器)、電気式たん吸引器、透析液加温器、酸素ボンベ運搬車、視覚障がい者用体温計(音声式)、視覚障がい者用体重計、視覚障がい者用血圧計(音声式)、パルスオキシメーター |
情報・意思疎通支援用具 | 携帯用会話補助装置、情報・通信支援用具、視覚障がい者用地上デジタル放送対応ラジオ、点字器、点字ディスプレイ、点字タイプライター、視覚障がい者用ポータブルレコーダー、視覚障がい者用活字文書読上げ装置、視覚障がい者用拡大読書器、視覚障がい者用時計、聴覚障がい者用通信装置、聴覚障がい者用情報受信装置、人工喉頭、ICタグレコーダー |
排泄管理支援用具 | ストマ用装具(蓄便袋)、ストマ用装具(蓄尿袋)、紙おむつ、サラシ、ガーゼ、脱脂綿、洗腸用具、収尿器 |
その市では、介護リフトの場合は世帯年収によって金額は変わります。
A君の家庭の場合なら15万9,000円までの助成が出ることわかりました。
助成を受けることで自己負担を35万円程度まで抑えることができ、家族さんもその値段なら出すことを決めてもらえました。
(※本体代とは別につるす為のハーネスは別売りの為、全額自己負担になります)
介護リフトを導入したことのメリット
介護リフトを導入したことで
- A君と家族の移乗の介護負担が減った。
- A君は家族の移乗では、転倒の怖さがあった。リフトを使うことで安心して移乗することができるようになった。
- 家族が楽に移乗できるようになったのでベッドより車椅子で過ごすことが多くなった。
さいごに
障がい者が生活を豊かにする為に使う各種の用具や機器は、価格が高額なものが多いです。
もし使うことが出来れば、今より自分らしい豊かな生活をしていくことができます。
A君の場合は、車椅子への移乗が簡単にできるようになったので以前より家族と同じ部屋で過ごしたり、外出する機会が増えました。
日常生活用具給付制度はそれぞれの自治体で使い方が異なります。
詳しくは、住まれている役所の障害福祉課にお尋ねください。