生活保護について
日本の国民は憲法によって「健康で文化的な最低限との生活を営む権利」を保障されています。
生活保護は、その最低限の生活ができるように必要な時は誰でも利用できる制度です。
生活保護になると毎月生活費が振り込まれるだけではなく、税金・保険料・医療費・保育料などの支払いが免除されます。
ただ、受給によるデメリットもあります。
今回は、「生活保護を受給していても車を所有できるのか?」について紹介したいと思います。
基本的に車は所有できない
現状はほとんどの市町村の自治体で生活保護受給中の車の所有は認められていません。
これは、
- 生活保護受給者が車の維持費を負担するのは不可能と思われる
- 事故を起こした際の賠償能力がない
- 生活保護を受けていない低所得者世帯とバランスを取る必要がある
などが理由に挙げられています。
それでは、申請前から車を所有している場合はどうなるのでしょうか?
これは原則として処分して得た資金を生活のために使用することが決められています。
ただし、生活保護受給者でも例外的に車の所有が認められるケースもあります。
例外ケース
1.通勤に利用する
住んでいる場所が地方の郊外では、公共交通機関の利用が難しい場合があります。
この場合は認めれることがあります。
例えば、職場に通う為のバスが1日数本しか走っていない、家からバス停まで徒歩1時間以上かかるなど、不便なだけでなく、どう考えても車が無ければ移動が難しい場合は認められる可能性が高くなっています。
また、何らかの障害があり、通勤や通学に車が不可欠な場合は認められる可能性が高いです。
ただし、車の維持費を援助してくれる親族などの存在が必要となります。
2. 通院に利用する
何らかの持病があって定期的に病院に通い、治療をしなければいけない場合に公共交通機関が利用が困難な場合は、車の所持が認められる場合があります。
病院までの送迎をしてくれる身内がいないこと、車の維持費を援助してくれる人がいることなどが条件になることが多いです。
3. 自営業のために利用する
自営業を営んでおり、車に作業道具一式を積んで現場へ向かうなど、事業を続ける上で車が不可欠な場合は認められる可能性が高いでしょう。
ただし、収入と車の維持費のバランスが重視されるため、ある程度の収入を得ている必要があります。
4.半年以内に生活保護から脱却する見込みがある
申請前から車を所有しており、半年以内に就労の予定があり、生活保護から抜けられる場合です。
この場合は、処分しても大したお金にならない資産価値が低い車は処分対象から外れることがあります。
なお、他の要件を満たす場合でも所有が認められる車は資産価値が低いものなので、資産価値の高い高級車の所有は認められません。
所有せずにリースはできるのか
所有できないなら、親族や友人から借りるなどで車を利用するのはどうでしょうか?
実はこれもできません。
なぜなら生活保護受給中は車の所有と共に車の利用も制限されるからです。
先にも書いた車の所有が認められない理由の一つでもある
「事故を起こした際に賠償能力がない」といった懸念は、車の所有の有無では変わりません。
事故を起こした際に全額保険でない場合の支払い能力がないからです。
そのため、レンタカーやカーリースも利用するのが難しいです。
先ほどの例外ケースで車の所有が認められても、原則、通勤手段など利用目的が外れた使い方ができません。
もし、「自動車は所有していない」と嘘を付いて生活保護を受給し、後で発覚した場合は、生活保護は廃止になったり、返還金の請求が来ることになります。
今回のケースはどうだったのか
今回のケースはどうなのかと思い、一度市役所に問い合わせてみました。
その利用者さんが住んでいる場所はバスの本数も多く、駅からも近い為、車は認められませんでした。
そのことを返答を伝えると本人も納得してもらえました。
どうしても車を所有・利用したい場合は、一度自治体に理由を話して相談することが大切です。